「東京23区の保育園情報」を調査する、パパスマイルの「見たい知りたい 新設保育園レポート」。本シリーズは本や雑誌、インターネットだけでは入手しにくい、現場への取材で得た「正確で具体的な情報」をお伝えする。
第3回は2017年4月に開園した「上高井戸保育園」。開園してまだ1週間という大変お忙しいなか、運営母体である「社会福祉法人 風の森」の保育事業統括 野上美希(のがみ・みき)様にお話を伺った。
近隣はマンションや一戸建てが並ぶ閑静な住宅街。交通量の多い通りから一本入っており、交通量は少なく、車道と歩道も明確に分離されている。
入園者のほとんどが自転車で通園する。保育園の奥に駐輪場があり、安心して子どもを乗り降りさせることができる。なお、同園は杉並区の保育園であるが、2017年6月以降、特例として隣接する世田谷区や三鷹市からも入園することができる。
入口はオートロック・電子錠となっており、園内外に複数の防犯カメラがある。園舎は1階建て、かつ、すべての教室から園庭に直接出られるようになっているため、万一の際の避難は容易と思われた。また上階が都営住宅となっているが(2017年6月から入居開始)、落下物を防ぐために鉄製のフェンスが設けられている。
同園は公設民営という東京都が園舎の建設を担当する方式で作られ、施設設計がコストおよび機能性重視になっていたとのこと。そこで運営母体の社会福祉法人「風の森」のエッセンスを取り入れるため、専属デザイナーによる壁紙の装飾、靴箱の取り替え、各教室のプレート交換などを行い、個性的で暖かみのある園舎に修正している。また雨の日や各種行事などで使用されるホールと、都内では珍しい大きめの園庭がある。
保護者の要望により、食材産地の情報を毎日公開している。また「食育」も取り入れる予定で、区民農園を借りて園児が野菜を栽培・収穫し、それを自分たちで食べるだけでなく、保育園周辺の住民に配ることも検討しているとのこと。この活動は「風の森」が運営する他の施設でも行っており、特に周辺住民のシニア層に喜んでもらえるそうだ。
また、「食べることを楽しんで欲しい」という考えから、3〜5歳児についてはビュッフェスタイルを採用し、自分が食べられる量だけを取るシステムを導入していく予定。
「久我山幼稚園」で実績のある「茶道」教育を上高井戸保育園も取り入れる予定であり、4歳から茶道の実技が月1回、「久我山幼稚園」の茶室で行われる。久我山幼稚園の事例では、卒園時に「表千家」の免状がもらえるとのこと。また保育のカリキュラムの中で、「絵画」「体操」「英会話」「リトミック(音楽)」などの特別教育にも力を入れている。
<一日のスケジュール例>
7時30分:登園受付開始
8時30分:各クラスに分かれて保育開始
10時00分:カリキュラムに沿った保育
16時30分:順次降園
19時30分:延長預かり保育時間終了
「理念」は、「健全な成長と限りない能力の開花」というもの。子ども達は無限の可能性を秘めているという確信と、それを引き出してあげたいという想いが込められている。「保育目標」としては、「自然との関わりの中、心身ともに健康な子どもの発育を目指す」「子育て家族との信頼関係構築および地域との良好な関係の維持」「自己表現と人をおもいやれる情緒豊かな子どもの発育を目指す」などが掲げられている。
またIT機器を使った効率化・情報発信にも力をいれており、保育園職員を受け付け横のディスプレイで紹介したり、日々の保育活動を写真付きで保護者に伝えるスマホアプリも取り入れている。