「東京23区の保育園情報」を調査する、パパスマイルの「見たい知りたい 新設保育園レポート」。本シリーズは本や雑誌、インターネットだけでは入手しにくい、現場への取材で得た「正確で具体的な情報」をお伝えする。
第10回は2018年4月に開園した「Picoナーサリ和田堀公園保育園」。大変お忙しいなか、運営母体である「社会福祉法人 風の森」理事長の野上宏(のがみ・ひろし)様と保育事業統括 野上美希(のがみ・みき)様にお話を伺った。
目の前に善福寺川と和田堀公園があり、非常に豊かな自然環境。周辺の土地に住宅街も土地に余裕があり、日中は自動車の通行もほとんどない。
保育園の敷地内に大規模な駐輪場があり、安心して子どもを乗り降りさせることができる。またベビーカーなどを預けることも可能。
入口はオートロック・電子錠となっており、園内外16ヶ所に防犯カメラがある。2階建ての園舎には複数の避難経路が設けられている。また併設されている地域住民が利用できるカフェ(詳細は後述)と園内は安全面に配慮して別の出入り口が設けられており、室内のドアも電子錠がかけられ、行き来できないようになっている。
園内には16ヶ所以上の防犯カメラが設置され、職員室では常時それらの映像が記録されている。またリクルート社が提供する連絡アプリ「キッズリー」を導入しており、子どもたちの登降園はタッチパネル(タブレット端末)で管理されている。
なおタブレット端末は2機しかないが、保護者のスマートフォンからも登降園に関する操作が可能な為、混雑することは無い(なお登降園時間を正確に記録する為、端末から数メートル範囲内でしか登降園操作はできないようになっている)。保護者は全員このキッズリーアプリを入れており、それを使用して保育園からの各種連絡も行われている。
また同園は最近いくつかの保育園で使われている「睡眠時モニター」などは導入していないが、国の基準の1.5倍の保育士を配置しており、特に0歳児は2人に1人の保育士が付いている。IoT機器については今後、その信頼性や効果を見ながら検討していく方針とのこと。
同園は複数の事業者の公募により選ばれており、施設にさまざまな工夫が取り入れられている。中でも特徴的なのは園内に設けられた「育児相談カフェ」。子育て中の地域住民は無料で利用することができ、ゆくゆくはそこで保育士と育児について相談したり、育児セミナーを受講できるようになる、とのこと。
野上美希氏によれば、これからの保育園のあり方として「地域に開かれた保育園」を目指しており、今回のカフェ併設もその一環とのこと。地域との関わりを持たない保育園はどうしても近隣住民との関係が悪化しがちであり、子どもたちの健全な環境を守る為にも、よりソーシャルで開かれた保育園を志向しているというお話だった。
「食べることを楽しんで欲しい」という同園の方針から、3〜5歳児についてはビュッフェスタイルを採用し、自分が食べられる量だけを取るシステムを導入している。また食育の一環として、絵本などに登場する食事「ストーリーメニュー(例:ぐりとぐらのカステラ)」が提供されることもある
保育のカリキュラムの中で、「絵画」「体操」「英会話」「リトミック(音楽)」などの特別教育に力を入れている。また同園の母体である「久我山幼稚園」で実績のある「茶道」教育を取り入れており、園内に茶室が設けられている。その効果として子どもたちに「今は先生のお話を聞く時間」「ちゃんと座っている時間」ということを認識する力が養われ、小学校の先生などから非常に褒められることが多いとのこと。
<一日のスケジュール例>
7時30分:順次登園
8時30分:クラス別保育
9時50分:カリキュラムに沿った保育
11時00分:給食
16時30分:順次降園
18時30分:延長預かり保育
19時30分:閉園
「理念」は、「健全な成長と限りない能力の開花」というもの。子ども達は無限の可能性を秘めているという確信と、それを引き出してあげたいという想いが込められている。「保育目標」としては、「自然との関わりの中、心身ともに健康な子どもの発育を目指す」「子育て家族との信頼関係構築および地域との良好な関係の維持」「自己表現と人をおもいやれる情緒豊かな子どもの発育を目指す」などが掲げられている。